梨の品種とは

 梨は品種によって甘さ、酸っぱさ、食感など様々な味の違いがあります。さらに収穫時期や大きさも、『梨』と一括りに言っても実は十人十色。多数の品種を取り扱うことで、皆様の味の好みに合わせた梨を見つけることができます。

収穫時期

 収穫時期の違う品種を栽培することで、収穫の労力を分散し、長期間にわたって梨の出荷を行えます。

品種ごとの収穫時期の目安は以下の通りです。実際の収穫時期はそのシーズンの気象条件等によって前後する場合があります。

 名前をクリックすることで各品種の説明に飛ぶことができます。

  7月 8月 9月 10月 11月 12月
香麗                                                
幸水                                                
あきあかり                                                
豊水                                                
かおり                                                
あきづき                                                
二十世紀                                                
新高                                                
甘太                                                
あきみのり                                                
愛宕王秋                                                

※直売所の営業は10月末頃(新高の収穫終了)までです。11月以降に梨をお求めの方は電話・メール等で事前にご連絡ください。

当園で栽培している主な品種


香麗

交配親:あけみず×筑水

[収穫時期]

7月下旬
甘さ ★★★
水分 ★★★
柔らかさ ★★★★
大きさ ★★★
酸味
日持ち 約3~5日

 神奈川県が育成した新品種。

 幸水よりも早く収穫できる極早生品種の中でも、比較的大きくなりやすく、糖度も高い。

 甘くて、水分たっぷり。酸味はなく、シャキッと柔らかな食感で口当たりも良い。

 幸水まで待てない、早く梨が食べたい、という梨好きな方には特にオススメ。

 幸水同様にあまり日持ちはしないため、なるべく冷蔵保存をして、お早めにお召し上がりください。



幸水

交配親:菊水×早生幸蔵

[収穫時期]

8月初旬

8月中旬
甘さ ★★★★
水分 ★★★
柔らかさ ★★★
大きさ ★★
酸味
日持ち 約3~5日

 早生品種で現代の梨の代表格。水分が多い梨は暑さ厳しいお盆の贈り物に人気。本格的な梨の収穫はこのこの品種から始まります。

 酸味がなく、みずみずしい甘みが口に広がる夏の味。

 日本全国で栽培されている梨のうち約40%がこの幸水。栽培面積からも明らかなように現在の定番品種。

 日持ちの悪さが欠点で、元々あまり日持ちの良くない性質に加えて収穫時期が真夏で気温が高いため、常温では3~5日程度が保存の目安。保存する場合は必ず冷蔵庫に入れて、お早めにお召し上がりを。



あきあかり

交配親:162-29(新高×豊水)×平塚17号(雲井×幸水)

[収穫時期]

8月中旬

9月初旬
甘さ ★★★★★
水分 ★★★★
柔らかさ ★★★★★
大きさ ★★★
酸味
日持ち 約1~2週間

 あきづきとは父親違いの交配組み合わせで2000年に登場した比較的新しい品種。 酸味は感じられず、柔らかく緻密で滑らかな歯触りの優れた肉質を持ちながらも、強い甘味を味わえる当園のイチオシ品種。梨特有のザラザラとした食感が少ないため、一般的な梨が苦手な方にもぜひ試していただきたい品種。

 この梨は特に、充分に冷たく冷やすことで甘みが増し、暑い夏にピッタリのデザート。 

 縦溝状に果実表面が凹み、形が悪くなることが欠点。残念なことに、この形が悪いという欠点だけで他の生産者からは敬遠されがちで栽培者は少ない。

 真夏の暑い時期に採れる梨としてはとても日持ちが良く、上手に冷蔵保存すれば1ヶ月以上日持ちさせることも可能。



豊水

交配親:幸水×平塚1号(石井早生×二十世紀)

[収穫時期]

8月下旬

9月中旬
甘さ ★★★★
水分 ★★★★★
柔らかさ ★★★★★
大きさ ★★★
酸味
日持ち 約5日~1週間

 名前の通り水分が非常に多く、包丁を入れると果汁がじわっと溢れてくる。その豊富な水分に甘さと酸味が絶妙に混じり合い、柔らかな果肉が深い味を生み出す。

 近年酸味のない品種が多い中、甘酸っぱさを兼ね備えている豊水は「酸味も無いと味気ない!」という方にオススメ。

 日本における栽培面積は幸水に次いで約27%を占め、幸水と並ぶ人気定番品種。

 ※果肉が透き通る「みつ症」が発生しやすい品種です。リンゴの蜜と同様に完熟した果実に発生しやすいため味が乗っている傾向はありますが、豊水のミツは食感に難があります。出荷の際は細心の注意を払って厳選していますが、時間経過とともにみつ症が進行してしまう場合がありますので、できるだけお早めにお召し上がりください。



かおり

交配親:新興×幸水

[収穫時期]

9月上旬
甘さ ★★★★
水分 ★★★
柔らかさ ★★★
大きさ ★★★★★
酸味
日持ち 約5日~1週間

 当園では毎年9月の第2週目頃に収穫。

 とても大きくなる青梨で、1kgを超えるものもある。名前の通りに独特の好ましい香りを持つのが最大の特徴。箱を開けた時にふわっと香ることから贈答用に人気が高い。

 酸味は無く、華やかな甘さと程よい歯ごたえで、癖の少ない味。

 幸水や豊水と同様に、国が運営する果樹研究所(農研機構)で作られた品種ではあるものの、様々な栽培上の欠点があるために品種登録には至らなかった。しかし、一度は没となったにもかかわらず一部の農家で栽培が続けられ、消費者への人気が出たためにだんだんと栽培されるようになった経緯がある。



あきづき

交配親:162-29(新高×豊水)×幸水

[収穫時期]

9月上旬

9月下旬
甘さ ★★★★
水分 ★★★★
柔らかさ ★★★★
大きさ ★★★★
酸味
日持ち 約10日~2週間

 柔らかくもシャキッとした梨らしい歯ごたえで、溢れ出る果汁はジューシーで酸味の感じないスッキリした甘みがありとても食べやすい梨。

 1998年に登場して以来、全国で着々と栽培面積を広げていて、いまだ人気上昇中の比較的新しい品種。親は新高・豊水・幸水と人気3品種の掛け合わせであり、まさにサラブレッド。

 大玉になりやすく満月のように丸く形が良いため、外観にも優れる、味と食感と見た目を兼ね備えた品種。日持ちも長めで万人受けする味と食感は贈り物にも喜ばれます。



二十世紀

交配親:不明

[収穫時期]

9月中旬
甘さ ★★
水分 ★★★
柔らかさ ★★
大きさ
酸味
日持ち 約10日~2週間

 言わずと知れた有名品種にして青梨の代表格。

 19世紀末に発見されて以降、当時としては最高の水分量と柔らかさで世間を魅了し、100年以上栽培が続けられてきたロングラン品種。

 当園に残る樹齢100年前後の高齢樹も多くはこの二十世紀。

 幸水など現在主流の品種からすると甘さそのものは遅れをとるものの、甘酸っぱいシャキッとしたみずみずしい食感には根強いファンが多い。



甘太

交配親:王秋×あきづき

[収穫時期]

9月末

10月上旬
甘さ ★★★★★
水分 ★★★
柔らかさ ★★★★★
大きさ ★★★★
酸味
日持ち 約5~10日

 あきづきを親に育成され、2015年に登録された期待の最新品種。

 青梨に分類されるが、二十世紀とは違ったマットな質感の果皮と、王秋と似たやや縦長の形が特徴。

 幸水など一般的な梨の糖度は12度~13度程度であるのに対して、甘太の平均糖度は梨の中でも屈指の14.7度(農研機構調べ)。強い甘みの中に酸味もあり、とても濃厚な味わい。

 日持ちは新高と比較して短い。

 果実表面から水分が抜けやすい性質があり、どんどん柔らかくなっていってしまうため、長期間置いておく場合はビニール袋で包んで保管することで水分の蒸散を防止できます。



あきみのり

交配親:幸水×?

[収穫時期]

10月初旬
甘さ ★★★★
水分 ★★★★★
柔らかさ ★★★
大きさ ★★★★
酸味
日持ち 約2週間~3週間

 他では購入できない当園オリジナル品種。

 甘さと酸味のバランスが優れていて含水量も多い。味は豊水に近く、食感はシャキっとしていて幸水に近い。豊水の味は好きだけどしっかりした食感も欲しいという方にはピッタリ。

 優れた保存性も特徴の一つ。

 栽培量は極めて少ないので注文はお早めに。



新高

交配親:長十郎×天の川

[収穫時期]

9月下旬

10月末
甘さ ★★★★★
水分 ★★★
柔らかさ ★★★
大きさ ★★★★★
酸味
日持ち 約10日~2週間

 新高の特徴は何と言ってもその大きさ。1玉600gは当たり前で、1kgを超えるものもある。

 酸味はまったく無く、この大きな梨を噛じれば濃厚な甘みを口いっぱいに感じることができます。

 日本全体での栽培面積は9%で豊水に次いで3番目に多く、特に市川市では盛んに栽培されている品種。

 大きくて立派なその見た目は贈り物として好まれます。

 ※当園では9月下旬から熟期を見つつ新高の収穫を行っていますが、9月の新高はまだ果肉が硬く食味が劣るため、本格的に発送を始めるのは10月に入ってからにさせていただいております。完熟させた新高は早採りのものより日持ちが悪くなっているのが欠点ですが、最近の品種と比べても遜色のない柔らかさと強い甘みを持ちます。早採りの新高を食べてガリガリと固い梨だと思っている方も是非一度お試しを。



王秋

交配親:C2(慈梨×二十世紀)×新雪

[収穫時期]

(販売時期)

11月

12月

甘さ ★★★
水分 ★★★★★
柔らかさ ★★★★
大きさ ★★★★
酸味
日持ち 1か月以上

 あきづきやあきあかりと同時期に発表された比較的新しい品種。中国梨の血が1/4入っているクォーター。

 大きく、日本梨には珍しい縦に長い独特な形をしている。珍しいその形はインパクト大。

 水分が非常に多く、酸味のあるさっぱりとした甘み。

 日持ちがとても良く、上手く保存すれば3ヶ月以上日持させることも可能。

 ※王秋の品種の特性で、果肉の一部が米粒大に褐変してコルク状になっている場合があります。他の正常部分の味には問題ありませんが、褐変部分は味がしないので、コルク状になっている部分が大きい場合はそこだけ取り除いて食べることをオススメします。また、身体に害のあるものではございませんので飲み込んでしまっても問題はありません。



愛宕

交配親:長十郎×天の川

[収穫時期]
(販売時期)


11月

12月

甘さ ★★★★
水分 ★★
柔らかさ ★★★
大きさ ★★★★★
酸味
日持ち 1か月以上

 新高よりも大きく育つ最大クラスの梨で、1個で1kgを超えるものも多い。

 仄かな酸味と強い甘みが独特な風味を醸し出す。他の品種に比べて水分量はやや少なめで、梨の中では比較的リンゴに近い味わい。

 日持ちはとてもよく、1ヶ月以上保存できる。新聞などに包んだ上にビニール袋にいれて保湿し、冷蔵庫や野菜室で上手に保存することでさらに長期間の保存が可能。お歳暮用に。